全ゲノム検査(ミトコンドリア病)体験談(1)

— 実証事業に参加して下さった方:40代男性(写真はイメージです)
2023年2月3日公開 


ジーネックスは「ジーネックスの全ゲノム検査」の提供に先立って、全ゲノム検査の開発と事業としての実証を2022年1月から約1年をかけて、希少疾患のひとつであるミトコンドリア病(指定難病21)を対象とした共同研究(2022年1月28日 プレスリリース)と実証事業を通じて行ってまいりました。


ここでは実証事業に参加してくださったミトコンドリア病の当事者の方へのインタビューを通じた体験談をご紹介します。


― 実証事業を受けて下さった背景

ミトコンドリア病の確定診断は受けているが、その原因となる遺伝子の特定ができていないために、もし原因遺伝子が分かるのであればとの理由で参加してくださいました。


※ジーネックス注:診断が確定している場合には、追加での遺伝子検査を医療側で実施されることは原則ないようです。


― 全ゲノム検査を通じて分かったこと

明確にミトコンドリア病の原因と報告されている変異が検出されることはありませんでしたが、原因が疑われる変異が検出され、当事者ご本人もそれを新たに知ることができました。一方でそれ以外の変異も数件検出されましたが、問題となりそうな変異ではありませんでした。ご感想としてはミトコンドリア病の原因の可能性がある変異が見つかり、すっきりした気持ちとともに、その他に特に問題となりそうな変異が検出されなかったことで、ほっとされたようです。


― レポートを受け取ってどんな行動を取られましたか?

ご自身のレポートのコピーを主治医にお見せくださったそうです。先述の通り、ご自身では原因遺伝子は分かっていない認識だったのですが、医師からは以前に実施した遺伝子検査の結果と概ね一致しており、それが疾患の原因と考えていたことを知らされたそうです。それが医師との間での伝達の齟齬であったのか、ご自身の認識違いであったのかは今となっては分かりませんが、レポートがきっかけでその点がクリアとなり、新たな発見ではなかったものの、これまで不明と思っていた原因遺伝子が概ね分かり、すっきりとはされたそうです。今回のレポートでは新たな発見はありませんでしたので、医療側での新たな対応が発生することはありませんでしたが、医師からは「今は医療側以外での全ゲノム検査でここまで分かるんですね」とのコメントをいただいたそうです。

今回の全ゲノム検査では、想定していなかった新たな結果が見つかったわけではなく、ミトコンドリア病としてご自身で想像していたことが追認できたという結果であったため、急いで細部まで深読みすることまでは行ってはいないそうですが、結果のレポートが手元にあることから、ご自身でもレポートと遺伝カウンセリングで聞いた内容のメモを見返してくださったそうです。


― レポートの内容はどうでしたか?

レポートの結果に関しては、遺伝カウンセリングでの説明もあってミトコンドリア病とそれ以外の疾患の可能性の有無に関しては十分理解できたそうです。ただレポート全体に関してはより詳しい専門的な情報も掲載されていることもあって、部分的な理解に留まっているとのことでした。生物や遺伝に関する基礎的な知識(高校での授業や新書を読んで得た知識:ご本人談)は持っているが、それでも理解するのは簡単ではなかったとのことで、そういった知識が必ずしも十分ではない人向けにレポートの表現方法を改善したり、あるいはウェブサイトで基礎的な知識を説明するなどの工夫が必要なのではとのご意見をいただきました。


※ジーネックス注:今回のような貴重なご意見を通じて「ジーネックスの全ゲノム検査」ではレポートの見易さを改善して参ります。また前述の通り、専門医にお見せすることも想定して専門的な結果もレポートには記載しています。検査を受けたご本人が重要な結果を理解しやすくまとめた「要約版」と、医師など専門家向けの「詳細版」をレポートとして提供します。


― 全ゲノム検査を他の方に勧めたいと思われますか?

現時点ではまだ慎重にならざるを得ないが、親しい人としっかりと話ができた延長線上や、遺伝子検査のメリット・デメリット(よくあるご質問をご覧ください)が理解できている人にはいいと思うとのことでした。実証事業への協力もミトコンドリア病に詳しい医師のサポートをジーネックスが受けているから了承いただけたそうです。ミトコンドリア病のはっきりとした診断がまだ出ていなくて困っているような人には勧められるのではないでしょうかとのことでした。


※ジーネックス注:今提供している「ジーネックスの全ゲノム検査」では、ミトコンドリア病での検証・実績をもとに、検査対象を遺伝性の難病・希少疾患全般まで広げています。

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